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ブログ

2023.10.01

ラポール③ 〜無意識レベルの信頼関係〜

「ラポール」とは、フランス語で「架け橋」を意味する言葉ですが、心理療法の世界では、「無意識レベルの信頼関係」を意味する言葉として使われます。

このラポールがないと、あなたがどれだけ素晴らしい意見を持っていても、相手はあなたの話を聞いてくれません。あなたがどれだけ魅力的な人でも、相手はあなたを恋愛対象に見ることもないでしょう。

ラポールはそれほどまでに強力で、全てのコミュニケーションの土台となるものです。
そしてラポール形成ができると、初対面でも、あなたは相手から安心感や信頼感を獲得でき、円滑にコミュニケーションを進められるようになるのです。

今回は、ラポール形成、維持のための、最後のスキルについてお伝えしていきます。

質の良い『 傾聴 』

あなたが自分の話をしているとき、お相手が携帯を見ていたらどんな気分でしょう?あるいは、あなたが悩みを打ち明けている時、お相手が無反応だったらどう感じるでしょう?

人は自分の話を大事に聞いてもらえていると感じる時に、安心感や喜びを感じます。それは、話をただ聞いてもらうということ以上に、「承認」のメッセージが含まれるからです。「あなたを見てます」、「あなたは価値ある人です」、「あなたの存在を認めます」といった非言語メッセージが伝わるのです。

そのため、前回のブログでお伝えしたペーシングは極めて重要です。話しているお相手の表情に自分の表情を合わせたり、呼吸を合わせたり、話のリズムに合わせて相槌を打つといった反応が、お相手を承認することにつながるのです。相手の話を『丁寧に聴く』という姿勢を大切にして、次の方法を試してみてください。

バックトラッキングとは?

バックトラキングとは、相手が発した言葉をくり返して、会話を進めていく聴き方の技法です。日本のカウンセリングの世界では「オウム返し」と言われます。

簡単な例でお伝えしますと、以下のようになります。

相手:「この前、ディズニーランドに行ってきたんだよ。」
あなた:「ディズニーランドに行ってきたんだ。」

このように、相手が言った言葉を活用して、言葉を返していくコミュニケーションの進め方です。活用する時の大切なポイントは、相手が使った言葉をそのまま使うということです。

相手の言葉を使わず、わかったつもりで自分の言葉を使っていくと、なんとなくギクシャクした感覚が生じます。例えば、

相手:「仕事において、挑戦は大切だよね。」
あなた:「仕事において、チャレンジ精神は大切だよね。」

相手:「人生で大切なことは、やっぱり人とのコミュニケーションだね。」
あなた:「そうだね、人と関わるって大事だよね。」

相手:「やっぱりラポールって大切だよね。」
あなた:「信頼関係は大事だね。」

言いたいことは同じでも、使っている言葉が違うのがわかりますね。
このように同じ言葉を使わないと、

  • ちょっと言いたいことと違うんだよなぁ…
  • この人、私の話をちゃんと聞いてくれてるのかなぁ…
  • なんか微妙にこの人と合わないなぁ…

といった気持ちが生じてしまいます。

これは、「言葉」というものが、「体験やイメージに付くラベル」であり、その「言葉」に含まれる体験やイメージは人それぞれ異なるので、自分なりの言葉に置き換えてしまうと、「私は違う意味に捉えました。」ということを相手に伝えていることになるのです。

このとき、相手の中に、「 無視された/否定された/拒絶された/批判された 」というような感覚を生み出してしまう場合があります。

それを防ぐためにも、相手が使った言葉をそのまま使うことが大切です。そしてこのとき、

バックトラッキングの効果

バックトラッキングの効果は、主に以下の3つになります。

  • 否定、拒否といった違和感や抵抗感を打ち消す
  • 「大切にされている」といった肯定的な感覚を与えることができる
  • 相手の悩み事や、問題の整理を促し、あなたを貴重な存在に感じてくれる

これらを簡単に見ていきましょう。

否定、拒否といった違和感や抵抗感を打ち消す

バックトラッキングでは、相手が言った言葉をそのまま返します。ですので、相手は否定のしようがありません。例えば、

相手:「この前ね、家族でディズニーランドに行ったの。」
あなた:「家族でディズニーランドに行ってきたんだね。」
相手:「いや、行ってないけど。」

こんな会話にはなりませんよね。

これは極端な例ですが、相手の使った言葉をそのまま使うバックトラッキングは、相手のなかで、拒否や否定できる状態をなくすことができます。つまり、「NO」といったネガティブな反応の代わりに、「YES」の反応を引き出すことができるのです。

「大切にされている」といった肯定的な感覚を与えることができる

バックトラッキングを意識して、相手との会話を進めていくと、自分の話を聴いてもらっている、受け入れてもらっているという安心感、そして信頼感を相手に与えることができます。

相手が使った言葉をそのまま活用するので、相手の無意識のなかに「そうそう」「そうなんです」「そのとおりです」といった「YES」の意味を含む肯定的な言葉がくり返されます。

催眠的アプローチで、現代では「YESセット」という名前で広まっている手法があります。答えが「YES」となる会話を続けていると、相手はやがてオープンになり、心を開いてくれるようになります。

以下の2つの会話を比較してみてください。

バックトラッキングなし
相手:「仕事のことでちょっと悩みがあって…、相談いいかな?」
あなた:「なに?どうしたの?」

バックトラッキングあり
※( )内は、相手が心の中でつぶやく声だと思って見てください。
相手:「仕事のことでちょっと悩みがあって…、相談いいかな?」
あなた:「仕事のことで悩みがあるんだね(そう)。相談があるんだね(そうそう)。いいよ、なに、どうしたの?」

このバックトラッキングには、相手の「そう」「そうそう」といった無意識の声の「YES」をたくさん生み出す効果があります。そして、聴くことを通して、

  • 私はあなたのことを知ろうとしています
  • あなたのことをもっと知りたいです
  • あなたは価値ある人です

といったメッセージを相手の無意識に伝えることができるのです。

相手の悩み事や、問題の整理を促し、あなたを貴重な存在に感じてくれる

あなたは、自分一人では解決できない悩みや問題も、人に話を聴いてもらっているだけで、頭の中が整理され、問題が解決できたという経験はありませんか?

相談事などの会話では、具体的な解決策を生み出す前に、まず現状の把握が必要となります。そんな時に、このバックトラッキングは有効で、相手が自分の考えや思い込み、絡みあった状況を整理するのを助けてくれます。

バックトラッキングを活用すると、否定や拒否といった違和感をなくすことができますので、安心感を感じながら、肯定的に問題を整理していくことができます。

それに加えてお相手は、「この人は私のゴチャゴチャした気持ちや頭の中を整理して、正確に聴いてくれる人だ」と感じますので、あなたの評価を上げてくれます。

このように、評価が高いカウンセラーやセラピスト、コーチ、コンサルタントをはじめとする一流の人たちは、以上のような効果がわかっているので、このバックトラッキングを活用するのです。

バックトラッキングの種類

バックトラッキングは、ただ言葉を返すだけでなく、言葉にならなかった「感情や気持ち」、そして「話の要点」などもバックトラッキングの対象として活用されています。

大きく、以下3つの種類があります。

  • 事実をくり返す
  • 気持ちや感情をくり返す
  • 要約する

それぞれ見ていきましょう。

事実をくり返す

相手:「この前、ディズニーランドに行ってきたんだよ。」
あなた:「ディズニーランドに行ってきたんだ。」

このように、相手の言葉を用いて事実をバックトラッキングすることができます。

気持ちや感情をくり返す

「うれしい」「たのしい」「かなしい」「つらい」といった感情をバックトラッキングします。感情は、特に相手の無意識に影響を与え、「この人はわかってくれているなぁ・・・」と深いレベルの信頼感を生み出すことができます。

相手:「この前プレゼンが大成功して、契約につながったの!嬉しかったなぁ!」
あなた:「それは嬉しいねぇ!!それを聞けて私も嬉しいよ!」

相手が言った言葉はもちろんですが、相手が言えていない、表現できていない感情を汲みとって伝えることもできます。

相手:「この前プレゼン頑張っていい出来だと思ったのに、全然伝わってなくて…もうイヤ…。」
あなた:「イヤだったね…辛いね…悔しかったね…。」

この相手が言えていない感情を扱うときには、一点注意があります。それは、相手が感じている感情の言葉がズレていると、相手が違和感や抵抗感を持ち始めます。

カウンセリングなどの傾聴トレーニングを積んでいくと、的確に相手の気持ちや感情を汲みとることができますが、初めのうちは相手が言った感情の言葉を活用することをオススメします。

要約する

相手の話が長い場合、相手のキーワードとなる単語を用いながらまとめること、つまり要約することができます。

相手:「いつも上司は私の話を聞いてくれなくて。それだけでなく〜(続く)。そういえば、私が仕事を抱えて大変な時に、平気な顔で仕事を押し付けてきた時もありました。具体的には〜(続く)。あの上司に関わるとろくなことが無い…もう心底イヤ…。」
あなた:「その上司は、ことあるごとにあなたにイヤな思いをさせてくるんですね…。」

このように、長い話をまとめて上げることで、相手も次の話へ移行しやすくなります。

まとめ

事実や感情、気持ち、要約のどれが一番大事は、その場面によって異なります。しかし、どれあっても大切なポイントは、「相手の使った言葉」「相手の使った単語」です。ですので、言葉や単語をしっかり聴き取るようにしましょう。

そして、実際に活用しようとすると、相手のセリフや自分のセリフが少し長く感じることもあります。もし、そういった場合は、相手のセリフの最後の言葉をバックトラッキングすれば大丈夫です。相手をよく観察しながら、よく聴いていきましょう。

前々回、前回、そして今回に渡り、ラポールを築くために基本的な方法についてお伝えしてきました。
実践して頂いた方は分かるかと思いますが、顕著な違いが生まれてきます。

あなたの日々のコミュニケーションが、より楽しく、充実したものになってくれたら私も嬉しく思います。

Story Notes ヒプノセラピー&NLPスクール
設楽 貴之

https://story-notes.com