エリクソン催眠マスター・コース
「暗示」を超えた『 喚起 』の世界
「おもしろい人がいるから読んでみるといいよ。」
学生時代、教授から一冊の本を紹介された。そこには、少年と馬の話が書かれていた。
少年が道を歩いていると、向こうから一頭の馬が歩いてくるのが見えた。
馬の主は見当たらず、どうやらはぐれてしまったようだった。
少年は、その馬に乗り、好きに歩かせることにした。馬は、数十メートル進んでは、道ばたの草を食べたり、小川の水を飲んだりして脇道にそれた。少年はそれを気がすむまでさせた後、馬をまた元の道まで引いてあげ、再び好きに歩かせた。
しばらく進むと、道の先に馬小屋が見えてきた。すると、その小屋から一人の男が大慌てでこちらに駆け寄ってきた。
「馬が帰ってきた!助かった!それにしても君、どうしてここだと分かったんだい?」
すると少年は答えた。
「僕は知らなかったけど、馬は知ってると思って。僕がしたのは、馬が脇道にそれた時に、ただ元の道に戻してあげただけだよ。」
心理療法というのが、そういうものだと知ったのは、そこから何年か後のことだった。
「 体験喚起 」のアプローチ
ミルトン・エリクソンという偉大な心理療法家と出会ったのはこの時でした。
思えば、私のセラピストとしての種は、この時すでに蒔かれていたのかもしれません。
以来、私は彼に魅了され、本を読み漁りました。
彼のスタイルは、いかにクライアントの中に「体験」を作り出せるか、というものでした。その体験を無意識が理解した時、学びは内側から自然に生まれてくる。
彼は、細かく説明したり、答えを教えるということをしませんでした。
代わりに、体験的な学習の土壌が生まれるよう、物語や逸話を多く話して聞かせました。
まれにクライアントが、「先生、つまり何が言いたいんですか?」と聞くと、
彼はそれに答える代わりに、2つ目、3つ目、と逸話を語り始めるのでした。
実際、彼は人から伝えられた答えよりも、己の中から生まれた答えの方がはるかに大きな力を持っていることを知っていました。
伝えるのではなく、無意識を信じ、体験の中から自然に生まれた学びに委ねる。
彼のこうした「体験喚起のアプローチ」を、ジェフリー.K.ザイク博士(エリクソン財団所長)は、エヴォカティブ・コミュニケーションと名付け、今もなお研究し続けています。
ザイク博士は、催眠とは「誘導」されるものではなく、「引き起こされるもの」であるとしており、催眠誘導ではなく、催眠「喚起」が正しい表現であるとも言っています。
そして、エリクソンのセッションは極めて戦略的かつ緻密で美しかったため、
「心理療法の芸術」と評されています。
心理療法の芸術を目指す『 人生の14日間 』
このコースをおすすめしたい人
- ご自身のヒプノシス(催眠)のスキルを極めたい人
- 喚起的アプローチを身につけたい人
- セッションで更なる成果を生み出したい人
- 永続的な変化の技法を手に入れたい方
- 催眠言語をマスターしたい人(※一般的なNLPの催眠言語と異なります)
- 日常会話の中でさりげなく、相手の心に変化の種を蒔けるようになりたい人
- 日常の会話で、相手をさりげなくトランスに入れられるようになりたい人
- セラピューティック・ストーリー・テリングをマスターしたい人
- ミルトン・エリクソンに興味があって探求したい人
- エリクソン催眠をマスターしたい人
本コースで扱う内容
- 7種の多元コミュニケーション
- 永続的変化の技法(人間の変化の原理)
- 催眠言語のマクロ構造
- 催眠言語のミクロ構造
- マルチレベルのパラレル・コミュニケーション
- ソマティック・インダクション
- トランス・アイ – トランス・スピーキング
- 精緻化された傾聴と語りの技法
- 精緻化されたキャリブレーション
- 価値観及び価値観の構成要素
- 習慣的フレームワークからの逸脱
- SIFTモデル
- AREモデル
- 戦略的心理療法(エリクソン・ストラテジー)
- 観念力動
- 方向付け
- 動機づけ
- ミニマルキューの活用
- 応答性の構築
- 変化の承認と増幅
- 腕浮揚
- 解離(分離)
- 時間歪曲
- 健忘
- 混乱法
- 散りばめ技法
- リカージョン
- 種まき
- 年齢退行(エリクソンの行った間接的退行)
- アーリー・ラーニング・セット
- 空想リハーサル
- その他、エリクソンが好んで使った技法
- 精緻化された催眠誘導
- 精緻化された催眠暗示の導入法
- 利用法(ユーティライゼーション)
- 利用(ユーティライゼーション)のありよう
- 相補性
- 催眠付置と催眠可塑性
- セラピューティック・メタファー/アナロジー
- 音韻学的セラピューティック・アンカー
- ドラマティック・ストラクチャー
- ストーリー・インダクション(物語りによる没入の誘発)
- エンベデット・メタファー・ストラクチャー(EMS)
- ストーリー・モーメント・トリミング(SMT)
- セラピューティック・ストーリーテリング
- その他技法
※内容やカリキュラムは状況等により変更となる場合がございます。
このコースで得られること
1. エリクソン催眠の知識と技法の習得
ミルトン・エリクソンが行っていた催眠の習得を行います。
2. カウンセリング・コーチング・セラピー技術の向上
3. 催眠言語の習得
これを習得することで、スクリプトを使うことなく催眠誘導が可能になり、何気ない会話だけで相手の内側に変化を喚起させる話し方ができるようになります。
※ここで扱う催眠言語は、一般的なNLPで扱われている催眠言語と異なり、エリクソンの行っていた催眠的会話と催眠言語となります。
4. 暗示を入れるスキル向上
エリクソンの催眠言語習得により、顕在意識の抵抗を掻い潜って、無意識にダイレクトにメッセージを埋め込むことが可能になります。そのため、何気ない会話の中に暗示的メッセージを組み込めるようになります。
5. スピーキング・プレゼン能力の向上
催眠言語のマクロ構造・ミクロ構造を理解し、習得することで、相手を引き込む話し方ができるようになります。
6. 言葉を操る技術の向上
話し手がトランスに入り、言葉を紡ぐ技法を習得することで、これまで無意識にしていた会話を自身でコントロールできるようになります。
7. マルチレベル・リスニング(多重傾聴技術)の向上
会話の内容、構造、パターン、言葉にされていない背景、非言語メッセージなど、一つのセンテンスを聴くだけで多くの情報を得ることができるハイレベルな傾聴術を習得することができます。
8. マルチレベル・スピーキング(多重発話技術)の向上
言葉だけでなく、言葉にされていない背景を塗り替えていく技法を学んでいくことで、相手の意識と無意識の両方にアクセスし、考え方や表象を自然に塗り替えることを可能にします。
9. マルチレベルのコミュニケーション能力の向上
言葉を用いながら、話し方、動作を用いて、二重、三重のマルチレベルのコミュニケーションを学びます。クリエイティブな発想と戦略的な非言語技法を用いていくため、身につけると極めて効果的なコミュニケーションを取ることができるようになります。
10. 永続的変化の技法
エリクソンの患者だった人は、20年経っても、50年経っても、エリクソンの言葉や話がずっと頭に残り変化し続ける・・・そうした実例が多く、枚挙にいとまがありません。それはエリクソンがあることを知っていて、それを常に意識していたからでした。ここでは、そのための極めて重要なコンテンツを扱います。
11. 様々な催眠反応の活用技術の向上
人は催眠に入ると、様々な催眠反応を経験します。そこで起きている催眠反応を活用しながら、これまで利用できていなかったリソースを利用可能な形で今の状態に結びつけることを可能にします。
12. 戦略的コミュニケーション能力の向上
エリクソンはセッションでも会話でも、相手に重要なメッセージを受け取ってもらえるよう、戦略的に会話を組み立てました。この考え方と流れを理解し使いこなせるようになることで、相手に望む行動や反応を引き出すことが可能になります。
13. 効果的なストーリーテリングの習得
エリクソンはセッションにおいて、好んで逸話を話したことは夢いです。しかし、ただ物語を語っただけではありませんでした。そこには当然、変化を引き起こすための様々な仕掛けが施されていました。ここではどのようにしたら、効果的にストーリーに変化の種を散りばめて話すことができるのかを学びます。ミルトン・エリクソンが行ったような、いわゆるセラピューティック・ストーリー・テリングの習得を目指します。
参加条件
このコースを受講できる方は、下記いずれかに該当する方に絞らせて頂いています。
- 医師、歯科医師、薬剤師、看護師、その他医療従事者
- NLPのプラクティショナー以上のNLP資格を保有する方
- 当スクールのプロフェッショナルコース受講者で認定を受けた方
- 当スクールのマスターコース受講者で認定を受けた方
- 他団体で催眠の認定資格をお持ちの方
- 他団体で一定レベル以上の心理系資格をお持ちの方
- その他、個別相談(※)
※上記条件に該当しない方で、受講を希望する方は、「お問い合わせ」よりをご相談ください。
認定について
このコースは認定コースではありません。なぜなら、エリクソン自身が技術を体系化せず、認定講習などを実施していなかったためです。従ってこのコースも、基本的にはエリクソンの教育方針に則り行っていきます。
ただし、どうしても認定が欲しい方には、コース卒業後に課題をお渡しします。
それに合格した方にのみ当スクールより認定証を発行致します。
認定証発行にかかる代金は、事務手数料を含め15,000円が別途必要になります。
認定要件
- 全日程参加し、各課題を行うこと
- 最終日に出された課題に合格すること
コース日程と流れ
このコースは14日間となり、前期と後期に分かれます。
日程の中にフォローアップ(約1時間)の質問会が実施されます。
- 前期(5日間)
- 後期(9日間)
前期
前期では、催眠言語の会話モデルの習得に主眼が置かれます。これまで無意識に行ってきた各々のコミュニケーションスタイルを一時的に壊し、エリクソンが行ったようなコミュニケーション技法を学びます。7種のコミュニケーションの違いを知り、催眠言語の構造を活用しながら、日常的に使えるレベルまでトレーニングします。
後期
前期の会話モデルを“催眠セッション”という枠組みで活用する、エリクソンのセッションを学んでいきます。戦略的にセッションを組み立て、そこにエリクソンの様々な技法を導入していくトレーニングを行います。
コース受講概要
時間 | 講座 10:00〜18:00 質問会 10:00〜11:00 個別フォロー 各自日程調整の上、実施 |
開催日程 | ●前期(5日間) 1月12日(日)、19日(日) 2月2日(日)、23日(日) 3月16日(日) 質問会(1時間) 1月26(日) 2月16日(日) 3月23日(日) ●後期(9日間) 4月6日(日)、13日(日)、27日(日) 5月4日(日)、5日(月)、25日(日) 6月15日(日) 7月20日(日)、21日(月) 質問会(1時間) 4月20(日) 5月18日(日) 6月22日(日) 7月13日(日) 計14日間のトレーニングとなります。 ※上記の日程は2025年の予定となります。 ※個人で受講したい場合はお問い合わせよりご相談ください。 |
開催形式 | ⚫︎ オンライン(Zoom) ⚫︎ リアル(希望者がいれば、最後の2日間) *1 参加者が複数人の場合、トレーニングでは、ペアやグループでのワークを多数予定しています。 双方向の顔が見えるミーティング形式で開催しますので、お顔を画面に映しての受講が必須です。また、周囲の音がペアやグループのワーク時に、他の方の妨げにならない環境でご受講ください。 ※2 リアルを希望の場合、最終日2日間がリアル会場となります。会場は東京の会議室を借りての実施となります。 |
会場 | ご自宅からご参加頂けます。(Zoomの場合) リアル会場希望の方は、講座の中でお伝えします。 |
費用 | 【 前期のみ 】 ¥364,000(税込) 【 後期のみ 】 ¥566,000(税込) 【 前期+後期 セット 】 ¥884,000(税込) テキスト、投影資料、復習用動画、質問会、個別フォロー代込み *認定証にかかる代金は、事務手数料を含め別途15,000円が必要になります。 |
受講対象 | 18歳以上で、下記いずれかに該当する方が対象となります。 ⚫︎ 医師、歯科医師、薬剤師、看護師、その他医療従事者 ⚫︎ NLPのプラクティショナー以上のNLP資格を保有する方 ⚫︎ 当スクールのプロフェッショナルコース受講者で認定を受けた方 ⚫︎ 当スクールのマスターコース受講者で認定を受けた方 ⚫︎ 他団体で催眠の認定資格をお持ちの方 ⚫︎ 他団体で一定レベル以上の心理系資格をお持ちの方 ⚫︎ その他、個別相談(※) ※上記条件に該当しない方で、受講を希望する方は、「お問い合わせ」よりをご相談ください。 |
備考
- セミナーの内容やサービスは状況に応じて若干変更となる場合がございます。
- 当スクールのセミナーは、撮影または録音の上、メディア販売や当スクールのホームページへの掲載を予定しております。
- セミナー内容の録音・録画はご遠慮いただいております。
- 人数に応じて日程などが若干変更となる場合がございます。
- ワークや講義の進行状況により、30分ほど延長する場合があります。
講座終了後のスケジュールには、ゆとりを持ってご参加ください。 - お席の確保について:ご決済の完了でお席を確保させていただきます。
その後のキャンセルにつきましては、キャンセル料または決済にかかる手数料を頂戴しますことをご了承の上お申込みください。