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2024.05.01

HSPとは?その特徴とチェックリスト

昨今、HSPという言葉をよく耳にするようになりました。
HSP専門のカウンセラーやセラピストも増えてきたように感じます。

そもそもHSPとは何なのでしょう?
HSPだと何か問題なのでしょうか?

今回は、HSPかどうかを簡単に調べられるチェックリストも含め、詳しくご紹介しようと思います。
自分はHSPなのでは?と気になっている方はぜひ、試してみてください。

HSPとは?

HSPとは、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の頭文字で、生まれつき繊細で感受性が高い人たちのことを指します。その特徴から、近年では「繊細さん」などと呼ばれるようになりました。

そんなHSPですが、実は全人口の20%、つまり5人に1人が当てはまると言われています。
元々、“HSP”という言葉ありましたが、芸能関係者が公の場で自身がHSPであることを公表したことから、一気に知られるようになりました。

HSPは、その繊細な性質ゆえ、生きづらさを感じている方が多くいらっしゃいます。
先にも述べましたが、5人に1人がHSP・・・つまり、HSPの人が100人の人と接したとすると、そのうちの80人は、「この人はどうしてこんなに繊細なんだろう?」と共感や理解を示してくれない可能性があるということです。

現代社会は、まさにストレス社会です。
HSPでない人ですら、大きなストレスを抱くこの時代は、HSPの人にとっては極めて生きづらい社会と言えるでしょう。

ここで誤解して欲しくないのですが、HSPは病気ではありません。なにかおかしなものではないのです。その人が生まれ持っての気質や個性の一つだと思ってください。したがって、その気質・個性を正しく知ることで、起こりうる問題にも上手に向き合っていくこともできます。

それでは、まずはその特徴について知っていきましょう。

HSPの特徴

HSPには、4つの特徴があるとされています。

Depth of processing(深く処理する) ➡︎ 深く考えこむ。
Overstimulation(過剰刺激) ➡︎ 刺激に反応しすぎる。
Empathy and emotional responsiveness(共感と感情的な反応)
 ➡︎ 共感力が高い。人の感情に影響されやすい。
Sensitivity to subtleties(些細な点を察知する) 
 ➡︎ 感覚が鋭い。微細なことを感じ取りやすい。

この4つの特徴は、「HSP」という言葉の生みの親であるアメリカの心理学者エレイン・アーロン博士によって提唱されました。アーロン博士は、4つの頭文字を取って「DOES(ダズ)」と呼んでいます。

HSP セルフチェック

自分や、自分の周りの人が「HSPかも?」と感じたら、下記のチェック項目を利用してみてください。

もし「今は当てはまらないけど、子供の頃はそうだった」と感じる項目があれば、それも「当てはまる」の数に入れておいてください。

それでは、下記22項目のうち、いくつ当てはまるか数えてみましょう。

1自分を取り巻く環境の微妙な変化によく気づくほうだ
2他人の気分に左右される
3痛みにとても敏感である
4忙しい日が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所に引きこもりたくなる
5カフェインに敏感に反応する
6明るい光や強い臭い、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい
7豊かで複雑な内面世界を持つ
8騒音に悩まされやすい
9美術や音楽に深く心を動かされる
10とても誠実である
11すぐに驚いてしまう
12短時間にたくさんのことをしなければならない場合、混乱してしまう
13人が何か不快な思いをしているとき、どうすれば快適になるかすぐに気づく
(例えば電灯の明るさを調節したり、席を替えたりするなど)
14一度にたくさんのことを頼まれるのが嫌だ
15ミスをしたり、忘れものをしたりしないよういつも気をつけている
16暴力的な映画や、テレビ番組は見ないようにしている
17あまりにもたくさんのことが自分の周りで起こっていると、不快になり神経が高ぶる
18生活に変化があると混乱する
19繊細な香りや味、音楽を好む
20ふだんの生活で、混乱や動揺を避けることに重きを置いている
21仕事をするとき、競争させられたり、観察されていると、緊張していつもどおりの実力を発揮できなくなる
22子供の頃、親や教師は自分のことを「敏感だ」とか「内気だ」と思っていた
From Elaine N. Aron,The Highly Sensitive Person: How to Thrive When the World Overwhelms You ©1996 by Elaine N. Aron.

いくつ当てはまりましたか?

12個以上当てはまったら、HSPの可能性は高いと言えます。

ただし、こうした心理テストは必ずしも正確ではないので、あくまで参考にする程度にしましょう。
また、「子供の頃はたくさん当てはまったけど、今はそうでもない」という方は、元々HSPの気質を持っているけれど、生活していく中で、上手に向き合う方法を身に着けてきた方と言えるでしょう。

HSPはその人が生まれ持った気質ですので、それ自体をまったく別のものに変えることは困難です。

しかし、向き合い方を変えさえすれば、生きづらさを軽減したり、卓越した能力として開花させることは十分可能です。実際に、音楽や芸能・絵画などの分野はもちろん、人への共感力と洞察力が必要な接客・サービス業や、研究開発・IT関係などの技術職では、HSP気質の人がたくさん活躍しています。

もし今、HSPの気質を活かせていないと感じるのなら、生きづらさと向き合っていくために、次の章では、どのようにして人の内側で感情が生まれるのか、感情発生のメカニズムをお伝えしていこうと思います。

感情が生まれるメカニズム

ここからは、ネガティブな感情と向き合っていくために、絶対にしておくべきことをお伝えしようと思います。

無意識フィルターの存在

あなたの中に、つらさ、苦しさ、悲しさ、といった感情が生まれているとき、必ず、その感情を引き起こすための“物事の解釈”が、感情に先行して存在しています。

人というのは、各々の経験から形作られた無意識のフィルターを持っています。そしてそのフィルターを通して、判断や解釈がなされ、感情が引き起こされます。

例えば、

「あなたはネズミだね!!」

このように言われたら、いい気持ちを感じるでしょうか?
それとも嫌な気持ちを感じるでしょうか?

では、どうして、その気持ちを感じましたか?

この時、それぞれの解釈が明らかになります。
例えば、

●「え、私ってそんな汚い存在なの?と思ったから」(解釈:ネズミは汚い存在)
●「え、私ってあなたからしたらそんな小さな存在なの?と思ったから」(解釈:ネズミは弱く小さな存在)
●「え、私に子供が8人もいるからネズミに例えたの?と思ったから」(解釈:ネズミは多産の象徴)
●「やったー!私ってそんな人気者なんだ!と思ったから」(解釈:世界的に有名な人気者のキャラクター)

これは興味深い反応です。
解釈次第で、生まれてくる感情に大きな開きがあります。

「ネズミとは〇〇な存在である。」

この〇〇部分を、聞いた人はそれぞれのイメージで埋めて、感情を自らつくり出しているのです。

おそらく、「あなたはネズミだね!」と言われた時、瞬時になんらかの反応が生まれたはずです。
判断や解釈は、無意識に蓄積された過去の学習を元に行われるので、頭で意識するよりも前に、瞬時に反応が起こるのです。

事実は1つだが、真実は人の数だけ存在する

私たちは、起きた出来事を、各々、好き勝手に解釈します。そしてそれが、その人にとっての真実であり、現実を作り上げています。

「事実(出来事)は一つだが、真実(解釈)は人の数だけ存在する」

このように言われるのも納得です。
そして、その独自の真実(解釈)を元に、感情を作り出します。

そうなると、私たちが「これが正しい」と思い込んでいる解釈も、疑いの余地があることに気づきます。

●「ちょっと待てよ?本当にそれは、正しいのだろうか?」
●「誰が、どんな経験をして、それが正しいと決めたのだろう?」

まずはこのように一度、自分に問いかけるところから始まります。

例えば、あなたが子供の頃に、「サンタクロースは存在する」ことを疑うことがなかったかもしれません。しかし、人生のどこかの段階で、何かを経験し、疑念が生じ、考え方が変わったはずです。

このように、私たちは古い考え方を、“今”生きるためにふさわしい最新の考え方にアップデートしながら生きています。

しかし、年齢を重ね経験が多くなってくると、自分の考え方を疑うことが少なくなっていきます。なぜなら、時にそれは、自分の過去の経験を否定しなければならなくなるからです。人は否定されることを極力避けようとするのです。

しかし、これができないと、周囲に頑固者と思われるだけでなく、何より自らが現実不適応の苦しい状態に陥ってしまいます。

ネガティブな感情が意味することは・・・

そもそも、ネガティブな感情は何のために存在するのでしょう?
無意識は何の意味もなく、あなたを苦しめて楽しんでいるだけなのでしょうか?

もちろん、答えはNOです。

ネガティブな感情は、あなたが今学ぶべき大切な何かがそこに存在していることを知らせるサインです。それをあなたが学ばない限り、あなたはこの先も同じように苦しむことになります。

始めのうちは、なかなか解釈を意識的に変えていくことに抵抗を感じるかと思います。
しかし、柔軟に自分自身の捉え方を変えられるようになったら、あなたは苦しみから解放されるだけでなく、自分自身の成長や充実感をより多く感じながら、豊かな時間を過ごすことができることでしょう。

次の章では、これらを踏まえた上で、HSPとの向き合い方・活かし方についてお伝えしていこうと思います。

HSPとの向き合い方

HSPの敏感さは、諸刃の剣のようなものです。
その特性は、HSP自身を傷つけてしまうこともあれば、人生を人一倍豊かにすることにもできます。

HSPと向き合っていくために、以下3つの方法が有効です。

① “不快”を感じにくくする
② “不快” ➡︎ “快”に変換する
③ “快”なものを感じきる

“不快”を感じにくくする

あなたは、幼い頃から今に至るまで、誰かに怒られたり、あるいは大切な存在を失い、人一倍ショックを受けて傷ついたと感じたことはないでしょうか?

同じ経験をしていても、周りの人は平然としているように見える・・・
「なぜこの人はこんなに平気そうなんだろう」と驚くこともあります。

同じ体験をしていても、感情や感覚を強く受け取りやすい人と、そうではない人がいます。

これは、事象の捉え方に2つの違いがあります。

【 事象の捉え方① アソシエイト 】

捉え方の1つ目は、アソシエイトです。アソシエイトとは、物事を主観的に見ている状態です。実際の当事者として、出来事を自分の視点で捉え、起きたことに対する感情的な反応を感じている状態です。

アソシエイトを写真で表すと、こんな感じです。

この視点は、臨場感がありますよね。
高いところが苦手な人の場合、冷や汗が出てきたり、体の中がひゅっと冷たくなる感覚を感じるかもしれません。これがアソシエイトの状態です。

【 事象の捉え方② ディソシエイト 】

ディソシエイトとは、物事を客観的に見ている状態です。この状態では、自分の行動を第三者の視点から観察することができます。記憶の中の出来事を、自分が映っている映画を見ているかのように、自分の姿をその映像の中に見ることができている状態です。

ディソシエイトを写真で表すと、こんな感じです。

アソシエイトの写真で感じたほどの臨場感はなく、感情や感覚も湧いてき辛いのではないでしょうか。

この2つが、感情や感覚を強く受け取りやすい感じ方と、そうではない感じ方の違いです。

【 アソシエイトとディソシエイトを使いわけよう!】

HSPの人が強く感情や感覚を味わっているとき、多くの場合がアソシエイトの視点で物事を捉えています。
それに対して、同じ状況でも感情が左右されにくいのがディソシエイトの捉え方となります。

不快を感じすぎてしまう場合、ディソシエイトの視点で捉えるように意識してみてください。

また、HSPは人のことでも、自分事のように捉えてしまいがちです。
誰かが苦しみや悲しみを感じている場面では、時として本人よりもしんどくなってしまうこともあるでしょう。
このときHSPの脳内では、まるで自分がその人自身であるかのような感覚を感じていることが多いです。

その優れた共感力は、様々な場面で活かすことができますが、つらいと感じるときには、「ディソシエイト」の視点で捉えることが有効です。

“不快” ➡︎ “快”に変換する

先ほど、不快とは、あなたが学ぶべき大切な何かがそこにあるというサインです、とお伝えしました。ですので、「私の解釈や考え方をアップデートするための更新日が来たんだ」と捉えて、これまでと異なる考え方をつくり出して見ましょう。その際に用いる技法が、「リフレーミング」です。

例えば、絵画に今までと違う枠(フレーム)をかけることで絵の雰囲気が変わったり、枠の中に収められた風景の範囲や角度によって、同じ風景でも見えるものが違かったりします。これと同じように、人が持つイメージや体験を異なる枠組みに入れることで、新たな視点を得ることができるのが、リフレーミングという技法です。

【 リフレーミングの例 】HSPの特徴(DOES)
 D:考え込みやすい ➡︎ 思慮深い、チームのブレーン担当
 O:刺激に反応しすぎる ➡︎ 感受性が豊かで、情緒を解する。感動できる。
 E:人の感情に影響されやすい ➡︎ 人に共感できる、気持ちを汲み取れる、寄り添える
 S:微細なことを感じ取りやすい ➡︎ 突出した感覚を持っている。

このように、日常の中でも事象の捉え方を「リフレーミング」してみて、自分にとってプラスになるような捉え方を鍛えていきましょう。

もし、リフレーミングが上手くいかないと感じるときは、ものごとの良い面を捉えるのが上手い人を探して観察しましょう。それはTVの中の人でも、漫画やアニメのキャラクターでも構いません。

洞察力が高く、感覚が鋭敏なHSPの人は、きっと良い先生を、そしてリフレーミングのヒントを見つけることができるはずです。

“快”なものを感じきる

HSPの感受性の高さは、人一倍、素晴らしいものに触れる機会が多いことを意味します。
絵画や音楽、物語、人の言葉に強く感動できることは、HSPの素晴らしい能力の一つです。

しかし、生きづらい日々を送っていると、些細な幸せや喜びを感じにくくなってしまうこともあるでしょう。しんどいときはエネルギーが足りないため、負の感覚ばかり受け取ってしまいがちです。

あなたが、人の汚さではなく、美しさに目を向けられるようにするには、何よりもまずは休息をとり、心と体を休めることが重要です。穴の空いたバケツに、どれだけ新鮮な水を入れようとしても貯まることはないのと同じで、人間の休息はそうした容器を修復する働きがあります。

そして、十分に休息が取れたら、リフレーミングをしていったり、素晴らしいものにどんどん触れてエネルギーをチャージし、心を豊かにしていきましょう。

最後に

人より敏感な感覚を持つHSP。

生きづらさを感じることも多いですが、特性を正しく知り、活かし方を身に着ければ、その繊細さは人一倍豊かな人生を送るための強みにもなります。

今は、HSPの認知度がだいぶ上がり、向き合い方や活かし方を学べる場所も増えてきました。
5人に1人がHSPの日本人にとって、これはとても喜ばしいことです。

どこかで学んで、自分で自分を変えたいと感じたときには、ぜひ、HSPの特性や長所をよく理解していて、安心できるスクールを選んでください。

今回も、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

Story Notes ヒプノセラピー&NLPスクール
設楽 貴之

https://story-notes.com