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ブログ

2023.09.25

ラポール② 〜無意識レベルの信頼関係〜

ラポールとは

「ラポール」とは、フランス語で「架け橋」を意味する言葉ですが、心理療法の世界では、「無意識レベルの信頼関係」を意味する言葉として使われます。

このラポールがないと、あなたがどれだけ素晴らしい意見を持っていても、相手はあなたの話を聞いてくれません。あなたがどれだけ魅力的な人でも、相手はあなたを恋愛対象に見ることはありません。

ラポールはそれほどまでに強力で、全てのコミュニケーションの土台となるものです。
そしてラポール形成ができると、初対面でも、あなたは相手から安心感や信頼感を獲得でき、円滑にコミュニケーションを進められるようになるのです。

前回に続き、今回もラポール形成の仕方(中編)についてご紹介していきます。

類似性の法則

あなたは、「類似性の法則」というのをご存知でしょうか?

社会心理学者ニューカムが証明した、「人は自分に似た相手に好意を持つ」という心理法則です。

例えば初対面の人との会話で、相手が同じ出身地だとわかった時、安心感や親近感を覚えた方も多いと思います。さらに出身の学校が同じだとわかれば、その方への距離感がぐっと縮まりまるでしょう。

このように似た境遇や環境、趣味、好きなスポーツ、アーティスト、さらに容姿といったことが似ていると、それだけで安心感、好感、親和性が高まるのです。

ところで、なぜ人は自分に似た相手に好意を持つのでしょう?
そこには大きく2つの理由があります。

  • 自分と同じ意見や態度の相手と一緒にいると、いつも自分自身を正しいと肯定していられる。
  • 自分と似た相手だと容易に先の予測がつくので、安全でいられる。

原始の時代から、群れで生活をしてきた人間にとって、群れから切り離されることは死を意味してきました。それゆえ、「孤立する」ということに私たちは並々ならぬ恐怖を感じるのです。そして、その状況はなんとしても避けなければなりませんでした。

類似性の法則は、集団で生きる社会的動物の人間において、極めて重要な法則です。

ペーシング 〜類似性を作る〜

あなたは、街中で仲の良い2人組を見かけた時に、服装や歩き方、仕草や話し方が似ているなと感じたことはないでしょうか?
もし意識して観察したことがなければ、ぜひ観察してみてください。
ラポールが構築されている人同士は、まるで鏡合わせのように反応をしているのが見てとれるでしょう。

これは、無意識に同調反応が起こっているため、本人たちも同じような仕草をしていることに気付いていないことが多いです。

このように、ラポールが築かれれば、結果的に似たような反応がお互いに起こるのですが、その反応を意図的につくっていくことで、迅速にラポールを築くことができるのです。

この、相手との類似性をつくり出し、歩調を合わせることを「ペーシング」と言います。
それでは今から、ペーシングするポイントをお伝えしていきます。それらは視覚的、聴覚的、言語学的の3つの要素に分けられます。

視覚的要素(ミラーリング)

視覚的要素(身振りや動作)を合わせていくことを、ミラーリングと言います。具体的には、

  • 姿勢
  • ジェスチャー
  • 態度
  • 呼吸
  • 表情
  • ファッション

などの要素を相手に合わせていくことができます。

聴覚的要素(マッチング)

聴覚的要素(話し方)に合わせていくことを、マッチングと言います。具体的には、

  • 声の調子
  • トーン(高い、低い)
  • ボリューム(大きい、小さい)
  • テンポ
  • 抑揚
  • スピード(速い、遅い)

などの要素を相手に合わせていくことができます。

言語学的要素(コンテンツ、ストラクチャー)

話の内容(コンテンツ)や、言語構造(ストラクチャー)を合わせていくことができます。

  • 叙述語
  • キーワード
  • 共通体験
  • チャンクサイズ

※ 言語構造については、今後のブログにてご紹介します。
(チャンク、メタモデル、メタ・プログラム、Labプロファイル、スライト・オブ・マウス、ミルトン・モデル、催眠言語の詳細は本講座で扱います。)

ペーシング – リーディングの構造を知る

【 ペーシング 】
類似性のところでお伝えしたように、相手との類似性をつくり出し、歩調を合わせることでラポールを築くスキルです。具体的には相手の言語、非言語に合わせていくことです。

【 ラポール 】
無意識レベルの信頼関係。相互の影響力が肯定的に反映し合うつながりのことです。

【 リーディング 】
ラポールを築いた後、質問や提案などを含め、自身のコミュニケーションの目的に向けて、望む方向へリードすることを言います。

この3つのステップは、よく「ダンスの流れ」に例えられます。
相手とダンスを踊りたければ、まず①相手が踊っているダンスを踊り、②つながることができたら、そこから③あなたのダンスに誘う、という流れです。

つまり、「ペーシング」⇒「ラポール」⇒「リーディング」の流れです。

卓越した心理療法家だけでなく、セールスや交渉などのビジネス、教育といった様々な場面でのコミュニケーションの達人たちは、このペーシングとリーディングをプロセスで考えています。

この「相手に合わせる」ことは、自分のやり方や考え方を曲げたり、我慢することではありません。
卓越したコミュニケーターは、目的を持ってコミュニケーションをしています。
上の図のように、相手を尊重し、より良い解決策や目的に向かってリードしていくためにペーシングがあるということを知っておいてください。

世界的なビジネスコンサルタント、Labプロファイル(言葉と行動のプロファイル、影響言語のトレーナー)の世界最高峰と言われるシェリー・ローズ・シャーベイ氏は、有名な格言を残しています。

「もし相手を望む場所に連れていきたいのなら、まずはあなたが相手のバス停まで行き、相手を乗せて連れていかなければならない。」

まとめ

今回はラポールを築くための方法の2つ目、「類似性をつくる」ということをお伝えしました。
そしてそこから、お相手を望ましい方向へとリードするための構造に触れました。

ペーシングとリーディングの構造は、人を操るスキルではありません。お互いに、気持ちの良いコミュニケーションをするためのものです。

これは元々、催眠療法(ヒプノセラピー)の世界からきたコミュニケーションスタイルです。
催眠療法では、いかに抵抗や反論を生むことなく、相手の無意識へメッセージを届けることができるかが研究されてきました。

あなたの大切なメッセージが、少しでもお相手の心に響いてくれたら嬉しく思います。

Story Notes ヒプノセラピー&NLPスクール

設楽 貴之

https://story-notes.com